先日、入院中の患者様の一時帰宅に新卒看護師と2名で同行させて頂きました。
Aさんは完治することが難しい病気です。
病状が安定しているうちに一度自宅へ帰れないかと医師、看護師からAさんへ提案しました。
Aさんの自宅は離島にあります。
「帰ってみたいが調子が悪くなったらどうしよう、周りに迷惑をかけてしまう」とAさんとご家族は悩んでおられましたが、話し会いを重ね一時帰宅することが決まりました。
一時帰宅の当日、船に乗りAさんの家がある島へ向かいました。
島の港に到着し、久しぶりに島に降り立った時のAさんの笑顔がとても印象的でした。
「もう病院には戻りたくないな」とAさんは笑顔で言いました。
Aさんが住む島の医療体制は、人口約千人の島に診療所が一軒のみ。
医師は日中のみ高松から船で通っており、休日や夜間は居ません。
医師が不在の時間に具合が悪くなった場合は、救急艇を呼び病院のある隣の島や高松へ搬送することになります。
政府はこれからの医療のあり方として、在宅を中心とした地域での療養生活を勧めています。
確かに住み慣れた家や地域で生活を送っていくことは、患者さんやその家族にとって落ち着いて過ごすことができます。
しかし、地域で安心して暮らすためには、いつでも安心して医療を受けられる環境が必要です。
住み慣れた地域で暮らし続けるために、僻地や離島地域での安定した医療体制の構築を求めていかなければならないと、Aさんの笑顔を見て改めて思いました。
3病棟看護師Y
コメント
今年は島で2名看取りました。
離島まで往診されているのですね。
本当に頭が下がります。