「その人らしくを支える看護とは?」 緩和ケア日記

あったかい看護

「その人らしく過ごすということが大切である」とよく耳にすると思います。
でも一体「その人らしい」とは一体何でしょうか。
そして医療者はどのようにしてそれを支えていけばいいのでしょうか?

「その人らしさ」とは人それぞれで同じ病名でも症状でも、その人ごとに感じ方や進行も異なります。
その人が大切にしてきた価値観や過ごしてきた価値観も異なっているのです。
最期まで「自分のことは自分でしたい」「家族に囲まれたい」「一人で静かに過ごしたい」と思いは異なっているのです。
緩和ケアでは「何ができるか」よりも「どうありたいのか」に目を向けていくことが大切であると考えます。

看護師として担当をしていたAさんという人がいました。
口癖は「大丈夫」で薬剤にも頼らない、弱音を吐かず、自分の事は自分で最期までしたいという希望がありました。
長期間の付き合いとなった中で本当は「この先の自分がどのような最期を迎えるのか不安」「痛みがいつ襲ってくるのか、どんな痛みが来るのか恐怖と毎日戦っている」「残される子供に申し訳なさがある」といつも穏やかで口数は少ないけど、にこにこしていたAさんは毎日1人で恐怖心と戦っていたのです。
他者に頼らないAさんと関わっていく中で、病気になるまでお子さんと温泉を巡ることが日課であり、入浴をすることが好きであることを知りました。
病気が進行し、寝たきりとなった状態ではありましたが、薬剤を使用しながら入浴をすることで、面会に来た家族さんに入浴ができたことを嬉しそうに話してくれていたそうです。
ご逝去された際に家族さんから「ずっと1人で家族のことも自分自身の事も背負っていた姉はいつも凛としていました。
綺麗好きで温泉巡りが好きで、ここに入院出来て、いつもきれいにしてくれて姉らしく過ごせたと思います」と涙ながらに話してくれました。

多くを語らないAさんではありましたが、Aさんの大切にする「入浴」を家族とともに支え続けられ、苦痛症状を忘れられた時間が短い時間ではあった可能性ではありましたが提供できたこと、また入浴ができるように日々業務や薬剤調整をしていただいた先生や同僚の皆さんにチームワークがあってこそAさんらしさを支えられたと思います。

今日も患者様の「その人らしさ」をそっと傍で支え続けえられるそんな存在でありたいと思います。

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