最近、「ライオンのおやつ」という小説がドラマ化されていたのを見つけて観る機会がありました。
この本は以前、入院されていた女性患者さまのAさんが景色のよい当院の病棟で療養したいと決めたきっかけとなった小説だったため、気になっていました。
あらすじは、若くして末期がんを宣告された女性が、人生で本当にしたかったことに悩み、瀬戸内海の小さな島のホスピス「ライオンの家」で最期の時を過ごすことを決意します。
毎週日曜日に入居者がリクエストした思い出おやつが振る舞われ、自分の人生で一番思い出に残るおやつとは何なのか?と入居者の人生の物語に触れながら、自分の人生を静かに見つめ直していく小説です。
話の中で「からだには必要のないものかもしれませんが、おやつがあることで人生が豊かになるのは事実です。おやつは心の栄養、人生のご褒美だと思っています」という台詞がありました。
Aさんは食事が摂れなくなった際に「桃をのせたかき氷が食べたい」と希望されました。
桃をむいて食べやすいように細かく刻み、桃の缶詰のシロップをかけたかき氷を準備すると「わあ、とってもおいしそう。」と笑顔になり、半分ほど召し上がられました。
ご飯は食べられないけど、ビールは飲めるという男性患者さま。
差し入れのお団子なら食べれるという患者さま。
ワインを一気に飲みほしたという患者さま。
その方その方でご褒美は違っていることを感じます。
緩和ケア病棟では、患者さまの苦痛の緩和の支援だけでなく、心身の安らぎ、心に残る思い出づくりができるようにすることも大切にしています。
今後もどのように過ごされたいかをお聴きし、それにできる限りお応えできるようお手伝いしていきます。
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