ホスピス緩和ケア病棟での、お風呂が大好きでとても楽しみにしている患者様のお話です。
入院当初は動いた時の痛みが強く、痛み止めを使ってもなかなか痛みがとれない状態でした。
体の位置や少しの動きで痛みが強くなるため、体の向きを変えるときもゆっくり声をかけながら行っていました。
入浴するには特殊浴槽専用のベッドに移動する必要があったため、痛みが取れない状態での入浴は困難でした。
しばらくして痛みが落ち着くと日中穏やかに過ごせる時間が増えるようになりました。
患者様はお風呂が好きでしたが、痛みの為に入浴を避けるようになっていました。
そこで痛みが出る前に痛み止めを使用し、効果が出た頃に入浴してはどうか提案しました。
するとお風呂に行きたいと希望があり、久しぶりに入浴することが出来ました。
入浴中はとても笑顔で故郷の歌を歌ったり、ご家族との思い出の話を聞かせてくれました。
これまで入浴を我慢していましたが、それ以降は毎週お風呂に入りたいと希望されるようになりました。
看護師にとっても貴重なコミュニケーションの場として、とても大切な時間だと感じています。
これからも患者様一人一人の好きなこと、やりたいことを叶えられるように、医療スタッフで連携しサポートして行きたいと思います。
(写真はホスピス緩和ケア病棟の特殊浴槽です。ベッドごと患者様をお連れし、入浴後もきれいに整髪までしてお部屋に帰ることができます。大きなヒーターが備え付けられていて暖かい環境で入浴を楽しむことができます)